政府が中央銀行から資金調達する場合の債権と債務の流れ(1)国債

政府は中央銀行に資金の提供を指示して資金を調達できます。政府が政府支出のために中央銀行から資金調達する場合債権債務の流れを見ていきます。政府と中央銀行も債権・債務を創造する仕組みは個人や企業、市中銀行が債権・債務を創造する仕組みは同じですが、政府と中央銀行は他と異なる特殊性があります。国によっては法律で直接中央銀行が国債を引き受けることを禁止している国もありますが、その国にとっては弊害が大きな制約です。

政府の債権・債務の創造と中央銀行の信用創造

政府は、国全体の生産力で将来に生産される富を担保に、債権・債務の創造により政府の借用証書である政府債(国債)を発行します。中央銀行は国債を担保に債権・債務の創造により中央銀行預金を創造します(信用創造)。中央銀行は創造した中央銀行預金により、政府口座に入金します。

政府と中央銀行の特殊性

市中銀行は企業や個人の金融機関になりますが、中央銀行は政府と金融機関だけが利用できる特別な金融機関になります。また政府には寿命がないため政府の将来収入である担保には企業や個人とは異なり限界はありません。そのため政府の債権・債務の創造にも限界はありません。このことから政府には資金調達に制限はないことになります。ただし、政府が実体経済で支出できる額には、その時の経済状況により制限があります。(資金調達に限界はないが、実体経済に支出できる額に制限がある。)

政府の債権・債務の創造と入金の指示

国債の発行

政府は、国全体の生産力で将来に生産される富を担保に、債権・債務の創造により政府の借用証書である政府債(国債)を発行します。

入金の指示

政府は中央銀行に国債を提供し、中央銀行預金を創造し、政府口座に入金するよう指示します。

中央銀行の信用創造

中央銀行は国債を担保に債権・債務の創造により中央銀行預金を創造します(信用創造)。中央銀行は創造した中央銀行預金により、政府口座に入金します。

政府に資金が入金

政府が支出する計画の資金が入金になります。

政府が入金を指示する前

債権・債務の創造

資金の入金後

政府は資金を調達でき、予定の政府支出を行うことができるようになりました。また政府には負債が発生します。政府の債権としての借用証書である国債が、債権である中央銀行預金に置き換わったことになります。債権・債務は均衡しています。

中央銀行は、国債の償還期限まで保有し、その間利子収入を得ることになります。政府の借用証書である国債を受け取り、創造した債権としての中央銀行預金を渡したことになります。債権・債務は均衡しています。中央銀行が受け取った利子収入は諸経費を差し引いて政府に返還されます。

無から債権・債務が生まれたことになります。将来生まれる富を現在の債権・債務として顕在化させたというこもできます。ここで注意しなければならないのは、生産する力がその前提となっているということです。生産する力がなけれが将来の生産が生まれないからです。その場合は債権・債務も生まれません。その意味では債権・債務の元は生産する力ということもできます。政府はインフラ投資や科学技術投資、教育投資により国の生産力を継続して拡大させていくことが可能です。

政府の債権・債務の担保が将来収入であるのはもちろんですが、中央銀行の担保である借用証書である国債も元をたどれば、将来収入になります。

債権・債務についての否定できない真実

  • 債権・債務の創造には担保が必要です。
  • 債権・債務は必ず同時に発生します。
  • 債権・債務は必ず同額になります。
  • 債権・債務は必ず同時に消滅します。

上記の政府が中央銀行から資金を調達する場合の事例もこの真実に適合します。

国債についての思い違い

政府の負債となった国債は償還期限がくると新たな国債で借り換えされることになるだけで、国民が負担して返済するというものではありません。この点も間違った思い込みをしている人がいるので注意が必要です。政府は資金調達に制限はなく実体経済への支出には制約があると前述しましたが、国債借り換えに伴う政府支出には一切の制約もありません。


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